遺伝子工学の初期の応用研究 10
遺伝子工学は、目的の遺伝子に関する知識が増して、確実に操作できるようになれば、細菌製品の効率が改善できるという希望を与えます。
メタンをメタノールに変換する能力をもった、別の土壌細菌を発見したブリティッシュ・ヘトロリアム(BP)社の研究者も、効率という問題に悩まされました。
天然ガスの主成分であるメタンは、きわめて豊富な原料です。
メタノールは、プラスチックや医薬品の製造など、広範な工業プロセスの出発物質であるだけでなく、それ自体優れた溶剤です。
この変換反応に関与するのは、一種類の酵素だけです。
他の酵素とは異なり、この酵素は、攻撃する相手分・士が何であろうとあまり気にかけず、プロピレンからのプロピレン・オキシドの合成など、各種の関連物質に対して似たような化学反応を触媒します。
プロピレンは、石油精製時に得られる安価な物質ですが、化学工業の出発材料でもあるプロピレン・オキシドは、現在のところかなり製造が難しいので、それだけ高価です。
このような変換反応を商業的に見て利のある規模で行えるかどうかにBP社が関心を示したのは当然のことでした。