福祉サービスについて 3

その一つは、福祉サービスの多様化がその供給主体の多様化とも結び付いているため、地域の福祉総需要のうち、どの供給主体がどの需要を分けもつのか・・・


それはどうしてか、分担することで抜け落ちたり、手薄になるサービスはないか、サービスの需給調整をどのようなやり方で行うのか、といった問題に対処しなければならないことです。


・・・これは、役所以外の地域における福祉サービスの供給主体の育成のみならず、サービス供給の体系化を図っていかなければならないことを意味しています。


市町村が社会福祉の運営・実施の中心となるとは、このような福祉サービスの供給調整を行うことも含まれているのです。


もう一つは、少なくとも役所が関与するかぎり、福祉サービスの公平さを確保しなければならないことです。


社会福祉事務の団体委任化を図り、市町村の自主性を高めようとしたときの理由は、「多様なニーズにきめ細かく対応できる」ためでした。


福祉ニーズは現実には個別に多様に存在します。


これに「きめ細かく対応」するとはことばでは簡単ですが、実際にはそうたやすくはないでしょう。


・・・というのも行政活動で福祉サービスを行うかぎり、サービスの受け手の個別要求に個別に応ずることはできないからです。

福祉サービスについて 2

このような福祉サービスの多様化と関連して、「サービス利用者」、「利用者保護」、「福祉サービス利用者」、「地域の実態に応じたさまざまな利用者の要望」、「利用契約を求める需要」といったような福祉サービスの「利用者」「利用」ということばが登場しています。


と同時に、福祉サービスの「対象」、「施設入所者」とか「入所措置」、「措置決定」とかいう従来からの用語も使われています。


いわゆる現行の「措置制度」では依然として入所は「利用」ではなく「措置」と結び付いていますが、今後、市町村において「措置」を実質的に「利用」へと転換していくことが望まれます。


施設福祉サービスのあり方は、役所などのサービスの提供者側(サプライ・サイド)の都合とともに、その希望・利用者側(ディマンズ・サイド)の都合との新たな折り合いを求めて改善していく必要があります。


施設への入所(措置)制度を公的責任の論理で根拠づけようとするならば・・・


その公共性の判断をもっぱら役所が決めるべきだと考えるのは、少なくとも地域と住民に最も身近にあって「先端機関」としての責任を負う市町村が住民を説得できる論理とはなりえないからです。


市町村が福祉サービスを供給していく場合、少なくとも留意すべき点が2つあると思われます。

福祉サービスについて

「意見具申」には「福祉サービス」ということばが随所に出てきます。


これは「福祉需要」と対になっていますが、福祉需要を満たすために行われる具体的な行政活動のことです。


公的に確保すべき福祉サービス(中心は社会事業法にいう社会福祉事業)、有料老人ホームといった民間シルバーサービスに代表される営利型の民間福祉サービス、行政関与型サービス(民間部門で提供される非営利の福祉サービス・・・


これらのうち、地方公共団体が積極的に関与して設立された福祉サービス供給主体によるもの)、行政非関与の非営利民間団体により提供される福祉サービス(ボランティア活動)という区別や施設福祉サービスと在宅福祉サービスの区別もなされています。


・・・このような多様な福祉サービスの類型自体が、国の助成と規制による社会福祉事業自体を福祉サービスの一つとみなす考え方が支配的になりつつあることを意味しています。


また、従来のように在宅福祉と施設福祉というニ分法に替えて、サービスの利用者がどこでサービスを受けるかという観点から入所サービス、通所サービス、在宅サービスというように三分法にするほうが実態に合った分類ではないかという見方もあります。


・・・事実、ショート・ステイやデイ・サービスの進展はこの三分法の有効性を裏付けています。

遺伝子工学の初期の応用研究 11

この場合も「油食い細菌」と同様に、研究者に渡された細菌は、工業的基準からすると効率が悪いものでした。


そこでBP社は、遺伝子組換え手法を利用して、化学反応にかかわる酵素の量を増やすことをもくろんだのです。


すなわち、同社は(より多くの遺伝子が得られるように)細胞内に多数存在するプラスミドに遺伝子を挿入するとともに、(各遺伝子がもっと活発になるように)効率のよいプロモーターの隣りにその遺伝子を入れようと考えました。


このプロジェクトは現在進行中であり、BP社はどの程度の成功を収めているのか、それほど外部に報じていません。


しかし、見通しはかなり明るいようです。


事実、1980年には、スタンダード・オイル社も同様の技術に対して投資を開始しました。


遺伝子工学の初期の応用研究 10

遺伝子工学は、目的の遺伝子に関する知識が増して、確実に操作できるようになれば、細菌製品の効率が改善できるという希望を与えます。


メタンをメタノールに変換する能力をもった、別の土壌細菌を発見したブリティッシュ・ヘトロリアム(BP)社の研究者も、効率という問題に悩まされました。


天然ガスの主成分であるメタンは、きわめて豊富な原料です。


メタノールは、プラスチックや医薬品の製造など、広範な工業プロセスの出発物質であるだけでなく、それ自体優れた溶剤です。


この変換反応に関与するのは、一種類の酵素だけです。


他の酵素とは異なり、この酵素は、攻撃する相手分・士が何であろうとあまり気にかけず、プロピレンからのプロピレン・オキシドの合成など、各種の関連物質に対して似たような化学反応を触媒します。


プロピレンは、石油精製時に得られる安価な物質ですが、化学工業の出発材料でもあるプロピレン・オキシドは、現在のところかなり製造が難しいので、それだけ高価です。


このような変換反応を商業的に見て利のある規模で行えるかどうかにBP社が関心を示したのは当然のことでした。

遺伝子工学の初期の応用研究 9

ゼネラル・エレクトリック社の「油食い細菌」を商品化するには、まず、その効率を改酵する必.要がありました。


細菌を廃棄物の分解に使用する試みも、同じような難しさに直面しました。


現在、有毒化学物質を処理する細菌製品が数社から市販されています。


サンオイル社は、ペンシルバニア州の地下水系を汚染する恐れのある地下漏出油の処理に、細菌学的手法を利用しました。


また、フロー・ラボラトリーズ、ホリバク・コーポレーション、シブロン・バイオケミカルズの各社は、重油やグリースなどによる配管の目議まりを除去する細菌培養物を市販しました。


しかし、これらはいずれも特殊な用途に向けた製品でした。


というのは、綱菌の洗浄効率の方が洗剤やお湯よりも優れているとは一般的にはいえないからです。


問題は、細菌が廃棄物を分解する酵素をつくり出す効率と酵素自体の作業効率です。


前者は「調節遺伝子」、後者は酵素自体の構造によって決まってきます。


もちろん、酵素の構造も遺伝子が決めています。

遺伝子工学の初期の応用研究 8

1972年、同社のアナンダ・チャクラバーティーは、このような細菌に関する特許を申請しました。


この種の遺伝子工学には、2つの障壁がありました。


両者とも、まったく操作を加えていないフラスミドを遺伝子の運び屋として利用することからくる問題です。


プラスミドを入れ替えた細菌は、野性種ほど頑健ではありません。


獲得したフラスミドの1つを偶然失った細菌は、操作された他の細菌よりも生存に有利になり、やがてはそれらを凌駕してしまいます。石塚孝一氏によるとこれは自然淘汰の 例であり、細菌が環境に適応するまで、この過程は繰り返されるその結果、細菌は付与された遺伝子をすべて失ってしまう場合が多いのです。


したがって、ゼネラル・エレクトリック社は、シュードモナス菌に入れれた遺伝子を安定化して、偶然失われてしまわないようにする方法を開発しなければなりませんでした。


自然界に存在する遺伝子は、石油分解酵素を産生する効率が低いのです。


これがもう1つの問題でした。

遺伝子工学の初期の応用研究 7

海中の細菌が漏出油を水溶性の物質に分解するには何年もかかります。


そこで私たちは、分解プロセスを速めるために、油膜に洗剤を散布して浮淳をすくい取るといった方法に頼っています。


1970年、ゼネラル・エレクトリック社はもっと優れた方法を思いつきました。


シュードモナス菌に、なんとか石油を分解させることはできないだろうか。


油を培地として細菌を増殖させ、油膜を分解できないか・・・というのです。


石油を食べて増殖する細菌はプランクトンが食べてしまいます。


そのプランクトンは魚が食べます。


こうして、数週間ですっかりきれいになってしまうというわけです。


ゼネラル・エレクトリック社は、石油の各種成分を分解する能力のある酵素をつくり出すフラスミドを分離して、その遺伝情報をすべて1つの細菌に詰め込むことを考えました。


そうすれば、石油成分を分解する能力を身につけた、石油を食べる細菌ができあがるでしょう。

遺伝子工学の初期の応用研究 6

各プラスミドには油類の完全分解に必要な数種類の酵素をつくり出す遺伝子が載っています。


それらが統合的に働いて油類、石油、タールなどを分解する特殊技能を生み出しています。


化学的な観点から見ると、これらのプラスミドはどの1つを取ってみても効率的とはいえません。


こうしたプラスミドを内包する細菌に、多量の油をすばやく分解する能力はありません。


・・・というのは、この細菌にとって油の分解は、副次的な活動にすぎないからです。


油類はこれらの細菌の進化の舞台となった上壌の一般的な成分ではありません。


ですから、これらの細菌中に存在するプラスミドは、ほんの少量の油を処理する酵素を産生するだけなのです。


そこに人間が登場しました。


石油が渇望された今世紀において、より不愉快な事態の1つは、年間何百トンもの原油の偶発的なときとして故意の海中への漏出です。

遺伝子工学の初期の応用研究 5

その他の医療用タンパク質も、明らかに遺伝子工学の主要な目標になりえます。


成長ホルモンは、人間の死体から取り出せますが、このホルモンを必要とする1入の患者を1年間治療するだけでも、70体分のホルモンが必要です。


この物質についても、豊富な供給の必要に迫られています。


これらのタンパク質を工業的に生産する工程は、遺伝子工学の技術的方法とほぼ同じです。


初期の成果はプラスミドの遺伝子学だけを応用したものであり、組換えDNA研究の特徴といえる洗練されたDNAの切り貼り操作は、一切行っていません。


一般にプラスミドは、単なる情報の運び屋としての遺伝子ではなく、そのプラスミドを携えている細菌の生死を左右する重要な遺伝子を含んでいます。


特に、シュードモナス属の土壌菌の体内に存在するプラスミドは、石油に含まれているような複雑な炭化水素を分解する遺伝子をもっており、その分解産物として、細菌に役立つ物質を産生します。


このプロセスは非常に複雑で、少数の酵素だけで営むことができるような代物ではありません。

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