遺伝子工学の初期の応用研究 4
たとえば、哺乳動物はすべてインシュリンを産生します。
しかし、多量につくり出すことはありません。
フレデリック・サンガーがインシュリンのアミノ酸配列を決定したときに使用した量は、ほんの数グラムでした。
これは、日常生活の基準から見ると、多量とはいえませんが、その量を得るのに約125頭分のウシの膵臓(インシュリンの通常の供給源)が必要でした。
病気の管理にインシュリンを使用する糖尿病患者は、ヒトのインシュリンの代用物としてヒツジやブタ由来のインシュリンを注射しています。
というのは、ヒツジやブタのインシュリンは、人間のものとわずかに異なっていますが、供給面でかなり余裕があるからです。
しかし、英語圏の国々では、糖尿病患者の数が毎年約6パーセントの割合で増加しており、欧米で屠殺する食用のブタやヒツジの全膵臓を利用しても、近い将来、患者数の増加に対応しきれなくなってくるものと予測されます。
こういった理由から、新たな供給源を確保することは、きわめて重要かつ有益であり、できるならば、副作用の少ないヒトインシュリンの方が望ましいでしょう。